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あらゆる物事をM視点で語るブログ

日々妄想

或る童貞の妄想

台所の方からの物音で俺は目を覚ました。
暖かい格好で寝てたっぷり汗をかいたのが良かったのか、大分楽になったがまだ寒気がする。
俺は再び布団にくるまり、ベッド脇の目覚まし時計を見る。
『5時45分』
俺は首を傾げた。
朝の5時なのか、夕方の5時なのかわからない。
「まさか朝の5時ってことはないよな。」
俺はベッドから立ち上がり、台所に向かった。
台所で、おふくろが料理を作っていると思ったからだ。
食欲が出てきたのは体調が良くなってきた証拠だろう。

台所にはおふくろではない、だけどよく見知った顔が我がもの顔で料理をしていた。
「あっ、起こしちゃった?ごめんね。でも、ちょうど良かった。居間で待ってて、もう少しで出来るか
ら。」
矢継ぎ早にしゃべる彼女に俺は対応できない。
「どうしたの。やっぱりまだ、調子わるいの?」
「…いや、ちょっと寝ぼけてただけ。…おはよう。」
「おはよう。もう、夕方だけどね。」
彼女の笑顔を見て、顔が熱くなった。
「やっぱり、まだ熱があるみたいだね。こんなところに立ってたら悪化しちゃうから、コタツにでも入
って休んでてよ。」
「ああ。」

コタツに入って一息ついたところで、ようやく俺は一番聞かなければいけない事を聞いていない事に気
づいた。
「おい、何でお前がここにいるんだよ。」
「えっ、いちゃ悪いの?」
「悪くないけど…。いや、そういうことじゃなくて…。」
遮るように彼女が大声を出した。
「できたっ」
ニコニコしながら彼女は、俺の元に料理を置いた。
「…」
俺は料理を見て固まった。
そこには山盛りになったチャーハンが強烈に自己主張していた。
(おいおい、なんだこの量は。病人に食べさせる量じゃないだろ。しかも、チャーハンって。普通、お
かゆとかだろ。)
思わず、手をつけるのに躊躇してしまう。
「どうしたの、食べないの?」
彼女の声音が一気に不機嫌なものになる。顔を見ると眉根にシワが寄っている。
やばい。俺は急いでチャーハンをかき込む。
付き合いはじめて2ヶ月で俺が最初に学んだこと、それは「彼女を怒らしてはならない」だ。
「うん、うまい。」
そう味は悪くない。
「そう、良かった。」
さっきまでの不機嫌な表情が見間違いだったかのように無邪気な笑顔に変わる。
俺はしばらくチャーハンをかき込んだ。
「そういえば、お前の料理を食べるのはじめてだよな。」
「うん。というか家に入るのもはじめて。」
そうだ。あまりにも馴染んでるから忘れてた。
「…」
意識し出すと、途端に緊張してくる。
妙な間が続く。
「でも、いい機会だったかな。一回君の家に行ってみたかったし。今だったら襲われる心配もないでし
ょ。」
「…」
襲う体力ぐらい残ってると証明しても良かったが、今は目の前のチャーハンという強大な敵を倒さなけ
ればならない。今日のところは、襲うのは勘弁してやろう。
俺は一心不乱にチャーハンを食べる。いや、飲み込む。
「どんどん食べてね。おかわり自由だから。」
「えっ…。」
敵は予想以上に強大なようだ。
たまに風邪を引くのも悪くない。
…昔のメモ帳あさってたら何か出てきました。
童貞をこじらせた男のひとつの症例ということで。
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