いいもの
「次の日曜日、誕生日でしょ。いいもの食べさせてあげるから予定空けといて」
御主人様のその言葉を聞いた時、身が引き締まる思いがしました。
私にとって、いえ、ある種のS女性とM男性にとって「いいもの」といったら1つしかありません。
いよいよか。
正直、私にはそのような性癖はありません。ですから、興奮というより喜びといったような感情を覚えました。自分は御主人様に選
ばれたのだという天にも昇るような恍惚。それは最早宗教的な喜びですらあったようにも思います。
そして、だからこそ失敗できない。選んで下さった御主人様のためにも失敗できない。期待は過度の緊張を呼ぶ。
何かしなければ。
だが、練習はできない。相手がいない。経験者に話を聞きたいが、やはり相手がいない。マゾは孤独だ。自分のもので味に慣れる
という方法もないではないが、それはやりたくない。
結局できる事は限られているのでしょう。想像する。ひたすら、できるだけ詳細に、それがそこにあるかのように想像する。資料を
取り寄せ、繰り返し見る。万里の道も1歩からというではありませんか。
そして、当日。
御主人様は私を高級レストランに連れていって下さいました。
「美味しいでしょ。お前もたまにはいいもの食べなきゃ」
ああ…。なるほど。「いいもの」ってそのままいいもののことなのですね。
その日食べた料理はどれもいいもので、黄金のような輝きを放つ忘れがたい思い出になりました。
御主人様のその言葉を聞いた時、身が引き締まる思いがしました。
私にとって、いえ、ある種のS女性とM男性にとって「いいもの」といったら1つしかありません。
いよいよか。
正直、私にはそのような性癖はありません。ですから、興奮というより喜びといったような感情を覚えました。自分は御主人様に選
ばれたのだという天にも昇るような恍惚。それは最早宗教的な喜びですらあったようにも思います。
そして、だからこそ失敗できない。選んで下さった御主人様のためにも失敗できない。期待は過度の緊張を呼ぶ。
何かしなければ。
だが、練習はできない。相手がいない。経験者に話を聞きたいが、やはり相手がいない。マゾは孤独だ。自分のもので味に慣れる
という方法もないではないが、それはやりたくない。
結局できる事は限られているのでしょう。想像する。ひたすら、できるだけ詳細に、それがそこにあるかのように想像する。資料を
取り寄せ、繰り返し見る。万里の道も1歩からというではありませんか。
そして、当日。
御主人様は私を高級レストランに連れていって下さいました。
「美味しいでしょ。お前もたまにはいいもの食べなきゃ」
ああ…。なるほど。「いいもの」ってそのままいいもののことなのですね。
その日食べた料理はどれもいいもので、黄金のような輝きを放つ忘れがたい思い出になりました。