メリークリスマス
会社の面接では必ず志望動機を聞かれる。今の会社の面接でも志望動機を聞かれた。何と答えたのかは忘れてしまったのだけど、マニュアルに従って「昔から○○業界には興味があり…」などとでっち上げたのだろう。本当のところは「あまり人と関わり合わないで仕事ができそうだから」などという舐めた志望動機だったのだけど。
昔から人と関わり合うのが苦手だったのだ。他人と上手く交流できない。コミュニケーション能力が低いのだろう。だから、人と関わり合わないでできる仕事を探したわけだ。
会社選びの方向性は間違っていなかったように思う。自分を知り、自分に合った仕事を探す。
まあ、問題は人と関わり合わないでできる仕事などないのだけれど。
私も入った会社もそうだった。営業職ではないからコミュニケーション能力が直接業績につながるわけではない。だけど、会社には上司がいて同僚がいる。彼らと対話し協力し合わないと仕事にならない。
はじめは戸惑った。騙されたとも思った。
ただまあ、人間やってやれない事はない。というか、慣れるもの。次第に仕事を覚え、気が付いたら上司や同僚ともそれなりの関係を築けていた。
そして、数年経つと仕事にやりがいなるものまで感じるようになり、後輩や部下めいたものまで持つようになった。
で、心身が壊れた。
何故今になってと思う。後輩や部下なるものの存在が重荷だったのかもしれない。何とも言えない。とにかく神経がおかしくなった。
まず、仕事以外何もする気が起きない。何もしたくない。食欲も性欲も減退した。ただただ眠くなった。
実際、休日になると延々眠ってしまう。寝ても寝ても眠い。酷い時には17時間から眠ってしまう。
仕事しているか寝ているか。そんな日々を繰り返しているうちに現実感のようなものがおかしくなった。
目の穴から世の中を覗き込んでいるような、自分がこの世界に生きてる当事者という実感がわかない。
まあ、仕事には影響が何の支障もないわけだし、深刻には考えていない。
その日も、職場から遠ざかるにつれて体内から熱が失われていった。
夕食をとっても、味がしない。
無理やり本を開いてみても、内容が頭に入ってこない。
眠い。
ぼんやりした意識の中、今日はクリスマスだという事に気が付いた。
特別な日だ。…メールを送ろう。
「もう、私の方からはメールはしないから。お前も滅多な事がない限りメールしなくていいよ」
「特別な日だけはメールさせてください」
そんなやり取りをして以来、特別な日はあの人にメールをしている。大抵はあの人の誕生日と年明け。クリスマスに送ったことはないと思う。当然だろう。日本においてのクリスマスは恋人同士にとっての特別の日なのだ。疎遠になった私とあの人には特別の日でもなんでもない。いや、そもそも恋人同士だったことなどただ一度もない。
ただ、ネット上で知り合って、少しの時間メールのやり取りをして、一度だけ買い物のお付き合いをした。それだけ。
それでも、私には忘れられない人だ。だから、数年経った今でも特別の日にはメールをする。ただの一回も返信が届いたことはないけれど。
「メリークリスマス。良いクリスマスをお過ごしください」
誰かが言っていた。クリスマスはキリストが生まれた日。だからどんな奇跡が起こっても不思議じゃない。
私も奇跡を期待していたのかもしれない。携帯電話を握りしめて、日付けが変わるまで待ってしまった。
勿論、返信など来ない。少し期待してしまった自分に恥ずかしくなる。
馬鹿みたいに胸まで高鳴らせている。
自然と苦笑がこぼれる。
仕事外の時間でこんなにも高ぶったのは久しぶりだ。
その日は、奴隷としてあの人の買い物にお付き合いをした日を思い出して自慰をした。久しぶりの射精だったように思う。
クリスマスはキリストが生まれた日。だからどんな奇跡が起こっても不思議じゃない。
確かにその通り。…何て書くのは罰当たりだろうか。
昔から人と関わり合うのが苦手だったのだ。他人と上手く交流できない。コミュニケーション能力が低いのだろう。だから、人と関わり合わないでできる仕事を探したわけだ。
会社選びの方向性は間違っていなかったように思う。自分を知り、自分に合った仕事を探す。
まあ、問題は人と関わり合わないでできる仕事などないのだけれど。
私も入った会社もそうだった。営業職ではないからコミュニケーション能力が直接業績につながるわけではない。だけど、会社には上司がいて同僚がいる。彼らと対話し協力し合わないと仕事にならない。
はじめは戸惑った。騙されたとも思った。
ただまあ、人間やってやれない事はない。というか、慣れるもの。次第に仕事を覚え、気が付いたら上司や同僚ともそれなりの関係を築けていた。
そして、数年経つと仕事にやりがいなるものまで感じるようになり、後輩や部下めいたものまで持つようになった。
で、心身が壊れた。
何故今になってと思う。後輩や部下なるものの存在が重荷だったのかもしれない。何とも言えない。とにかく神経がおかしくなった。
まず、仕事以外何もする気が起きない。何もしたくない。食欲も性欲も減退した。ただただ眠くなった。
実際、休日になると延々眠ってしまう。寝ても寝ても眠い。酷い時には17時間から眠ってしまう。
仕事しているか寝ているか。そんな日々を繰り返しているうちに現実感のようなものがおかしくなった。
目の穴から世の中を覗き込んでいるような、自分がこの世界に生きてる当事者という実感がわかない。
まあ、仕事には影響が何の支障もないわけだし、深刻には考えていない。
その日も、職場から遠ざかるにつれて体内から熱が失われていった。
夕食をとっても、味がしない。
無理やり本を開いてみても、内容が頭に入ってこない。
眠い。
ぼんやりした意識の中、今日はクリスマスだという事に気が付いた。
特別な日だ。…メールを送ろう。
「もう、私の方からはメールはしないから。お前も滅多な事がない限りメールしなくていいよ」
「特別な日だけはメールさせてください」
そんなやり取りをして以来、特別な日はあの人にメールをしている。大抵はあの人の誕生日と年明け。クリスマスに送ったことはないと思う。当然だろう。日本においてのクリスマスは恋人同士にとっての特別の日なのだ。疎遠になった私とあの人には特別の日でもなんでもない。いや、そもそも恋人同士だったことなどただ一度もない。
ただ、ネット上で知り合って、少しの時間メールのやり取りをして、一度だけ買い物のお付き合いをした。それだけ。
それでも、私には忘れられない人だ。だから、数年経った今でも特別の日にはメールをする。ただの一回も返信が届いたことはないけれど。
「メリークリスマス。良いクリスマスをお過ごしください」
誰かが言っていた。クリスマスはキリストが生まれた日。だからどんな奇跡が起こっても不思議じゃない。
私も奇跡を期待していたのかもしれない。携帯電話を握りしめて、日付けが変わるまで待ってしまった。
勿論、返信など来ない。少し期待してしまった自分に恥ずかしくなる。
馬鹿みたいに胸まで高鳴らせている。
自然と苦笑がこぼれる。
仕事外の時間でこんなにも高ぶったのは久しぶりだ。
その日は、奴隷としてあの人の買い物にお付き合いをした日を思い出して自慰をした。久しぶりの射精だったように思う。
クリスマスはキリストが生まれた日。だからどんな奇跡が起こっても不思議じゃない。
確かにその通り。…何て書くのは罰当たりだろうか。