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あらゆる物事をM視点で語るブログ

日々妄想

M視点で見るSM

M男の友達がいました。
きっかけはこのブログのコメント欄でのやりとりだったんですけど、気が合ったのでしょうね、彼と飲むお酒は楽しかったですねえ。
お堅い、恰好つけたような会話は一切なしで、まあ、頭の悪いことばかり言い合ってました。
M男のあるあるネタとか。スカトロの3Dって誰得なんだとか。聖水、黄金はいいとしても聖風はなしだろとか。
で、最後はお互いいいパートナーを見つけようと誓い合うんです。
学生ノリですよね。青春時代が遅れてやってきたみたいでした。


「理想の女御主人様と出会えた。」と彼から聞いた時は、我が事のように興奮したものです。
もう、その日の飲みの席は乾杯の嵐です。二人の出会いを聞き出して、乾杯。彼の勇気ある告白に、乾杯。初めての逢瀬に、乾杯。彼に乾杯。彼女に乾杯。2人の永遠の主従関係に乾杯。友情に乾杯。


「なぜ、お前にそんな事決められなければならない?」
テーブルを挟んで座った彼が、私を睨めつけながら言った。
行きつけの喫茶店。なれたソファーも今日は座り心地が悪い。
なぜこんな事になってしまったのだろう。
「俺はお前の事が心配で…。」
「お前に心配される筋合いはない。」
間髪いれずに彼が反論する。本当になんでこんなことになってしまったのだろう。
「…悪い、言い過ぎた。でも、わかるだろ。ショックなんだよ。俺と彼女の関係を一番近くで見てきたのはお前だろ。そのお前が彼女と別れろだなんて。」
「…。」
そう、見た。見たから、言っているのだ。彼女との『プレイ』を見たから、別れろと言っているのだ。今すぐ別れないと大変なことになる。
なぜ、見てしまったのだろう。
「彼女がしている行為はSMか?俺にはそうは見えない。あれは…虐待だよ。」
熱せられた五寸釘によって彼の身体が刻まれる様子が頭から離れない。
彼の絶叫。
彼女の表情。恍惚とした表情。
「俺はそれを望んでる。」
「嘘だ。」
「嘘じゃない。お前ならわかるはずだろ。お前は見たじゃないか。わかるだろ、なあ。」
縋るようにこちらを見る彼の視点が、さらにソファーの座り心地を悪くする。
「…彼女は狂ってる。」
「お前がそれを言うのか!お前はマゾヒストじゃないのか。彼女のような方を受け止めるために俺達は存在しているんじゃないのか。」
違う。そう言いたかった。マゾなんてたかが性癖じゃないか。
「彼女は、お前が今言った言葉に何度も傷つけられてきた。…俺たちと一緒だよ。」
愛おしそうに服の上から傷をさわる彼の行為が、また彼女の『プレイ』を思い出させる。
バーナーの火が皮膚を焦がす臭い。熱でポップコーンのように爪がはじけ飛ぶ音。
「彼女を愛しているんだ。」
彼の声が一気に遠くなった気がした。だめだ。そんなのはだめだ。
「間違ってる。間違ってるよ。お前はそんな所に行くべきじゃない。彼女は、狂ってるんだよ。狂ってるんだ。狂ってる。」
巨大なペンチが彼の歯を砕く。だめだ。行ってはだめだ。
「間違ってるのはお前だよ。」ため息交じりにそう言いながら、彼は立ち上がった。
「見ろよ。」
彼のズボンは、血に染まっていた。
限界だった。胃液がせり上がってくるのを感じる。トイレに駆け込んで吐いた。
彼女は彼のペニスを文字通り改造したのだ。ペニスに切れ目を入れて、性的興奮を覚えると血が噴き出すように。
彼の血に染まったズボンを思い出して、何度も吐いた。


それ以来、彼とは会っていない。



…あ、フィクションです。

M男としてあるまじき事を書きますが、いわゆるハードSMと呼ばれるプレイを目にすると嫌悪感を覚えることがあります。そして、そんな自分に嫌悪感を覚えます。
ハードな責め苦を受けているM男性を目にすると、彼らが可哀想に思えてくることがあります。きっと、可哀想なのは私自身なのでしょう。
時折SMがおぞましく見えるのは、きっと自身がおぞましいからなのでしょう。
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makoto139

Author:makoto139
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